18.死と選択


18.死と選択

Aは死にたがっていた。

先日、九十九%の確率で当たる占いが出来るスーパーコンピューターで「あなたには今後、このような不運が生じます。」と出たからだ。

もちろん回避方法も提示されていた。ただそれには並々ならぬ労力が必要だということだった。
しかもAは長寿の可能性が高いという結果も出ており、Aはその苦しみを思うと、生きているより死んだほうがマシだと考えるようになった。

そんな悩みを抱えていたある日の事、スーパーコンピューターに相談することにした。
「楽に死ぬ方法はあるか?」
すると、スーパーコンピューターから「死なせ屋」という裏稼業があることが提示された。

Aは、思いきって話を聞きにいくことにした。

「死なせ屋」の営業担当は説明した。
「はい。当社では慈善事業として行っております。楽に苦痛なく死ねるだけでなく、臓器なども残らず必要な方へ提供できますので、心置きなくあの世へ旅立てるかと存じます」

それを聞いたAは、願ったり叶ったりと思い即決した。

「死なせ屋」は、実際には手をくださないということだった。
違法になるので「その方法を提示し、その後処理をするだけ」ということだった。

しかしAは思いとどまってしまい、死ぬことができなかった。

その後「死なせ屋」は本能が働かない死に方も開発したため、繁盛し自殺者はうなぎ登りに増えていった。

Aはそれを見過ごせなくなり、立ち上がる決心をした。
Aの必死の努力もあり、「死なせ屋」を廃業させることに成功した。

すると目に見えて自殺者は減った。
そしてその分、苦しむ人間が増えたのだった。
Aはそれらの苦しんでいる人から、度々文句を聞かされるハメになった。

「お前のせいで苦しんでいても死ねない。どうしてくれるんだ!」

補足

「見過ごす、見過ごせない」の問題解決は簡単ではない。

どちらを選ぶか?
生死が関わっている時は尚更だといえるだろう。

例えば「トロッコ問題」のように、どちらを生かすか?(どちらを死なせるか?)の選択が避けられない状態で、突発的に生じた選択の中で、数値でのみで判断したとしても、選択した責任は生じる。例:医者一人と、無職の飲んだくれ十人の選択など。

もちろん誰しも生きる権利は平等に有しているので、誰にも選択できる権利はない。

どちらにしても、選択には責任がともなうことを自覚していく必要があるのかもしれない..


次は..19.解釈2

他の興味深い記事もご覧ください。お時間の許す限り、さまざまなテーマをお楽しみいただけます。
※当ブログで取り扱う短編小説の物語はフィクションです。実在の人物、団体、事件などとは一切関係ありません。

読者の皆様へ

この記事をご覧いただき、ありがとうございます!この記事に関する間違いなどのご意見、ご不明点などのご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。お問い合わせフォームは、パソコンからはサイドバー、スマートフォンからはトップページのメニュー内にございます。

このブログの人気の投稿

WordPress多言語サイトの最適プラグイン比較と設定ガイド:初心者必見の15の解決策

AIを駆使して効果的なSEO記事を作成する方法

コピーライティングテクニックの参考書(期間限定)メニュー

子供を守る!学校での熱中症対策:教師と保護者の実践ガイド

ホラー映画ファン必見!おすすめのVODサービス徹底ガイド

プライバシーの尊重

皆様からいただいたフィードバックや個人情報は、厳重に管理し、第三者に開示することは一切ありません。安心してご意見をお寄せください。

皆様からのフィードバックをもとに、より良いコンテンツ作りに努めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。