94.意図


94.意図

は、猟奇的殺人を行う事を決めた。

Aは、元々は穏やかな性格だった。
人間どころか蚊も殺せない性格だったのだ。
それがある出来事をきっかけに激変することになった。

それは二年前の出来事だった。

Aにとって全てともいえた妻が不慮の事故で亡くなったのだ。
それからというもの、Aは生き甲斐をなくし、何をしてもやる気が起きなかった。

Aは「残された道は死ぬことしかない」と思い詰めるほどの状態となっていた。

そこでAは考えた。
「どうせ死ぬのなら、何かを成し遂げて死のう。しかし、何をしようか?」

Aは考えに考えたあげく、一つ思い出したことがあった。
「そう言えば、妻は子供の頃、酷いイジメにあったと話していたな」

Aは名前を聞いていたことも思い出し、そして、とんでもない事を思いついた。
「そうだ。いっそのこと、死ぬ前に、妻をイジメていた人間を殺そう」
Aは、イジメていた人間は子供の頃の出来事であるし、既に忘れている可能性があることは百も承知だった。

それでもAは、そうすることで忘れていたでは済まされず、大人になってからも心休めることはできないという抑止力の効果を願い、決意したのだった。

Aはその意図と目的を記録し、綿密に計画を練った。

Aは目的を達成した後、死ぬことを決めていたので、捕まることは恐れていなかった。
ただ、その効果を最大限に高めるため、できるだけインパクトのある殺し方が必要だと考えていた。

そこで、一般的な殺人ではなく、猟奇的な殺人にすることにしたのだった。

そして現在..
Aは目的を果たしていた。
メッセージを残し、自ら自殺したのだった。
その後、世の中はどうなったのか?

Aは死んだ後、幽霊となり見届けていた。

ところが結果はAが望んでいたことと、大きく違っていた。
強いメッセージを送りたければ、人々の印象に残りやすいよう、インパクトのある殺し方が有効だということを知った猟奇殺人鬼が、次々と事件を起こし世の中を騒がせていた。

Aの目論見は見事に外れ、イジメが減るどころか、ますます恐ろしい世の中になっていたのだった。

「俺は何のためにやったんだ」
Aは地獄で地団駄を踏んで、いつまでも悔しがっていたのだった。

補足

仮に、復讐を動機として、大人になってから同じ事を相手に行った場合、子供であれば許されることが、大人になってからは許されないということがあるのだろうか?
その答えがどうあれ、そんなつもりであったのか?なかったのか?どちらであろうと、やった方は忘れやすく、やられた方は忘れていないことが、多々あるといえるのかもしれない。

意図せず加害者になっていた、或いは逆に被害者になってしまうことが無くなることはないということは忘れてはならないのかもしれない。
たとえ無意識とはいえ、被害者側というターゲットにならないために加害者に加担したり見過ごすことがあったとしても..
※当ブログで取り扱う物語はフィクションです。実在の人物、団体、事件などとは一切関係ありません。

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