102.千年紀


102.千年紀

子が済む世界。
そこは、お金が必要のない世界だった。

生活必需品はもちろんの事、娯楽を含む必要なものが、必要なだけ手に入るようになっていた。
手に入れる条件は一つだけとなる。
それは自分の生活情報と思考パターンを提供するだけだった。

それは、更に快適な生活を提供するためのデータとして使われるし、コンピューターが処理するだけなので、プライバシーが悪用される心配はなかった。

加えて、一人一人に合わせて快適な生活が提供されているため、犯罪も激減していた。

お金が存在しないので、人は人の顔色をうかがう必要もなくなり、自分自身や大切な人や生き物、物をもっと楽しく快適にするため、楽しみながら勤しんでいた。

A子は小説を書いていたが、それはお金のためでも有名になるためでもなく、ただ大切な人に楽しんでもらうためだった。それが他の人にも気に入られ喜ばれていた。
喜んでもらえると、そのためのネタを考える苦労もすっと消え、喜びに変わった。

A子は思った。
「さて、今日は何で悩もうかしら」

そこでは、何を悩むのかを選択する自由もあった。
超現実的なゲームや映画も無償で配給されていたため、スリルや感動、笑い、恋愛など事欠かなかった。

それは観るだけでなく、全身で感じることが出来るため、自由に経験し、満喫することもできた。

A子はドキュメンタリーも好きだったので観て感じる機会も多かった。
「ふ~ん。一昔前は、こんなに大変だったんだ。
例えば..信じていた友人が名前を伏せて心無いことを書く場所もあったんだ。これじゃ誰も信じられなくなっても不思議じゃないわね..」と感慨深そうに感じながら経験していた。

そんなある日の事、A子は既に二百歳を迎えようとしていた。

A子は自分の人生を振り返り、言った。
「考えてみたら、あっという間だったわね。そろそろ、いつ死ぬか考えなきゃね」

そこでは、いつ死ぬかも自由に選択できたのだった。
何せ人生に飽きたら、いつでも生まれ変わり0から始められる仕組みも出来ていたのだから。

補足

これまでの価値観で物事を見ていると、ただ繰り返しが続くだけだといえるだろう。
世界中の情報を集めているグーグルの検索がどんなに進歩したとしても、人がこれまで悩んだ事がない答えは出てこない。
所詮は過去の人々の情報を集めているに過ぎないからだ。

今はまだ、人々を利用しシステムを使った場所を提供するだけの企業が成功しているといえるだろう。それは、必要性があったからに他ならない。
もしかするとこれからは、誰も悩んだ事がないことを考える必要性が出てくるのかもしれない。
それとも、悩みそのものの必要性さえも、変化していくのだろうか。
リアリティーのためには生の酷い苦しみや痛みがもっと必要だと思うなら別だが..
※当ブログで取り扱う物語はフィクションです。実在の人物、団体、事件などとは一切関係ありません。

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