6.祈り

6.祈り

A子は、藁をもすがる想いで神に願った。
「どうか、宝くじが当たりますように」

A子が必死で祈った理由は、それで借金の苦しみから救われるからだった。

すると程なくして、A子の願いが届いたのか、どこからともなく声が聞こえてきた。
それは何と神の声だった。

神はA子の頭の中で囁いた。
「お前のような欲深い人間に、神である私が願いを叶えてやるわけがないだろう。そんな願いをいちいち叶えていれば、願いを叶えるオンパレードとなってしまい、世界は秩序をなくし崩壊してしまうだろう」

それを聞いたA子は、肩を落としながらも納得した。
「確かにそうだわ。これからは、全世界の平和だけを祈っていくことにします」

それでも、A子の生活はなに一つ変わらなかった。

A子は言った。
「私は我欲を捨て、自分以外の大勢の人達のためを願ってきました。それなのになぜ、なに一つ変わらないのでしょう?」

神はA子の気持ちを見透かしたように言った。
「そんな、見返りを求めるようなやましい気持ちが伝わるわけがないだろう。しかもお前は、具体的には何も願っていないではないか。それを私のせいにされても困る」

それを聞いたA子は言った。
「でも、神様が欲深い願いはやめろと言ったのではありませんか。私はどうしたらいいのです?」

神は答えた。
「決まっているだろう。努力することだよ」

A子はその答えに、思わず反発した。
「私は精一杯努力してきました。それなのになに一つ変わらないから、こうやって願いを捧げているのです」

神は言った。
「結果はどうあれ、努力すること自体が大切なのだよ。お前は何も変わっていないと言うが、こうやって私の声が聞こえるようになったではないか」

A子は言った。
「神様の声が聞こえただけでは、意味がありません。困っているからこそ、頼りにしているのです。どうにかしてください」

神は呆れたような声で言った。
「なるほど。何かあった時の神頼みというわけか。
それなら確実な方法が一つある。それは『保険』に加入することだよ」

A子も呆れた口調で言った。
「私を馬鹿にしないでください。それくらい知っています。
保険なんて、胴元が儲かるだけじゃないですか」

補足

どうにもならなくなった時、人智を超えた存在にすがりたくなるのも人の心の常なのかもしれない。

それならば保険と変わらないのではないだろうか。
いや、それでは切りがなくなるため保証はないといえるだろう。

つまり、切迫詰まった時は既に手遅れということから目をそらしているだけなのかもしれない。

だとすれば、人智を超えた存在価値はどこにあるのだろうか?

どちらにしても、切迫詰まらないうちに手を打っておくことが懸命だといえるのかもしれない。もっとも、それができれば苦労はしないともいえるだろうが...

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