97.電気信号

97.電気信号

A博士は、脳の電気信号の仕組みを研究していた。
といってもそれは、心理療法として使えるほど精度の高いものではなかった。

A博士はそれでも構わなかった。
なぜなら唸るほど金があったからだ。

そこまでの精度がなくとも、マーケティングの分野へ情報を提供するだけで、金になるのだ。

例えば、人は脳のこの部分に刺激を与えると、報酬物質が生じやめられなくなり、ご飯を食べることも後回しになるほど夢中にさせることができる。
そして脳に刺激を与え続ける事で、やる気を著しく低下させることも可能だといった具合だ。

他にも、脳のある部分を刺激することで、記憶力をアップさせることができるため、製品やサービスを長期記憶の領域にとどめておくことができるのだ。

これは政治家にも好んで使われた。

脳に悪い印象を与える部分を刺激するための情報を与え続けるだけで、国民は政治家に期待しなくなり、選挙に行く確率も大幅に減るのだ。
それによって、政治家は支援団体だけを囲い込むだけで効率よく票を獲得できるようになった。

このようにA博士は、脳の電気信号を解析していくことで、まるでプログラムを書き込むように、人を操れる手法を各界の大物に提供していった。
そして、入ってきた金で、更に研究が進むと言った好循環が続いていた。

そんなある日の事。

A博士はとても重要なことに気づかざるを得ない状態になった。
それは、自分自身が金により脳に刺激を与えられることで「パブロフの犬」のような状態になっていたということだった。

A博士は気づくことができた。
それと同時に、これまでの知識があるが故にどうしようもないことも知っていた。

A博士は呟いた。
「これは、やめたいけれど、やめられないな..」

補足

何気なく暮らしていると、シンプルな反応パターンにはまり込んでしまっている事は、よくあることだといえるだろう。

それはまるで、スイッチを押すとご褒美が発生するような装置が組み込まれているかのようだ。
虚しさを覚えないための希望でさえも組み込まれているとしたら、どうなるだろう。
「そのスイッチを誰が押しているのか?」それこそが重要だといえるのかもしれない。 
その押している者さえも、他の者とすり替えられて刷り込まれない限り..

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