96.罠


96.罠

男は、犯人が捕まるシーンをみるのが好きだった。
スカッとするのだ。

ドキュメンタリー番組は、特に好んで観ていた。

そこでA男はいつからか、捕まるシーンを目の前でみてみたい衝動にかられてきた。
「そのためには、犯罪を目撃しなければならない」

A男はどうすれば犯罪が起きやすいか考え、実行に移すことにした。

まず、車にカメラを設置した。
車外と車内に関わらず全ての角度から記録できるようにした。
そして次に、荒い運転をしている車を見つけると、わざと割り込みをし、ノロノロと運転してみたのだ。

時には、追い越しをすることもあった。
すると案の定、煽り運転をする人間が出てきた。

A男は「しめた」と思い、逃げる素振りをしながら、警察に電話を入れ捕まえてもらった。
その後、動画サイトへアップし、テレビ局にも提出した。
煽り運転だけでなく、時にはわざと喧嘩っ早そうな男へ、軽く肩をぶつけてみたりしていた。
GPSを設置し、窓を開けっ放しにして、わざと車を盗ませる事もした。

詐欺と思われるサイトも有効活用した。

このような事を繰り返す事で、A男は捕まる事を目のあたりにできる上、動画で収入も得ることができ、A男にとっては一石二鳥だった。

しかも挙句の果てには、警察から感謝状までもらうことができたのだ。

しかしA男はそれだけでは飽き足らなかった。
しまいには、住んでいる家も、わざと窓を外すなどして空き巣が入りやすくしていた。

そんなある日の事。
A男に遂に引導が渡される時が来た。
A男が入念に準備をしていたにも関わらず、突然、通り魔に刺されてしまったのだ。

その通り魔は、A男の動画を見ていたファンだった。

その通り魔は、意識が薄れゆくA男に向かって言った。
「こんなスリルを味わえて、これで願ったり叶ったりだろ..」

補足

実際には、交通事故に百対0が殆どないように、犯罪を誘発するような行為は、判決の中に加味されるといえるだろう。
「触らぬ神に祟りなし」というように、危険を避ける努力も必要なのかもしれない。

どちらにしても、私達が普段見ているニュースは、もしかすると偏った見方によって作られていることも、加味しなければならないのだろうか。その見方すらも偏っているのかもしれないが..

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