109.情熱

109.情熱

Aは、小さい頃から内に燃えたぎる情熱を抑えきれずに生きてきた。その情熱は時に思わぬ方向へ爆発し、素行の悪さとして目立つこともしばしばだった。そして、その激しい想いは大人になっても変わることはなかった。

ある日、Aはその情熱を社会に向ける決意をした。そして思い切って政治家へ立候補することを決めたのだ。しかし、演説の場においてもAは正装をせず、振る舞いも傍若無人だった。彼の言葉は粗暴でありながらも真実を突いていた。

「俺は嘘が嫌いだ!こんな嘘だらけの狂った世の中を変えてぇ!力を貸してくれ!!!」

この情熱的な叫びが、国民の心を揺さぶり、Aは見事当選を果たした。政治家になった後も、Aの態度は全く変わることはなかった。

そんなある日のこと、政治家が集まるパーティーにAは参加した。そのパーティーには、Aの友人であるコメディアンも招かれていた。コメディアンは皆を笑わせようと、Aの妻をネタにした。

その瞬間、Aの内に再び抑えきれない情熱が湧き上がり、コメディアンに駆け寄った。

「俺のことはいくらバカにしても構わねぇ。だが、嫁を侮辱する行為だけは許さねぇ!!!」

そう叫びながら、Aはそのコメディアンのほっぺたを引っ叩いた。結果としてAは暴行罪で捕まり、暴力はいけないことだと世の中から切り捨てられた。

Aは思った。「やつ(コメディアン)の目を覚まさせるための、愛のムチのつもりだった…」

Aの熱い想いは、時に国民の心を揺さぶり、時に国民から見捨てられるきっかけともなった。

その後、ある日…

「万事、収まりました…」

政治家Bは報告を受けると、笑いながら言った。「うむ、よくやった。クククッ、うまくいったぞ」

それはAの失脚を狙ったBが仕組んだものであった。Bは、雇った者に国民を気づかれないように煽り扇動させていたのだ。

Bは思った。「あいつは情熱がありすぎた。いつ俺が国民を欺いていることをバラすかわからん奴だったからな。しかし、今やAは国民の敵となった。これで安心だ」

ほとんどの国民は何も知らなかった。ただ、情熱を持って正義を果たしたことで満足していたのだった。

「まったくもって暴力はいかんな…」

Aの情熱は、時に国民の心を揺さぶり、時に国民から見捨てられるきっかけとなる。その情熱が導いた運命は、彼にとって悲劇であり、同時に壮大なドラマでもあった。

補足

どんな理由でも暴力は許されない
たとえそこに情熱や愛情があったとしても
愛情とは目に見えず判別が難しいもの

では言葉の暴力は許されるのだろうか
もちろん明確な脅しは許されないが、誰かを傷つけて笑いをとる行為は許されるのだろうか
それは裁判官に委ねられる微妙な問題なのかもしれない
訴える人がいればの話だが...
しかも裁判で無罪となったとしても、社会がその人を裁くこともある
それは正しいのだろうか

ただし、それも誰かが扇動して煽らなければの話だが..


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